
(文社《日本物集》的封面。本集菊田守(1935-2019)先前二部集《日本昆集》、《日本集》容,重新出版。菊田有多小物登。菊田不把小物作作素材,而是生活在同一次元中,察之情化。透身各小物的角,敏透人的本,展崇敬自然的心意,一步反思人自然共生共存之道)
【作者介】

菊田守(1935-2019),昭和至平成期的人。京都人。明治大。大代人安西冬(1898-1965)的短〈春〉,生趣,始投稿。之後年任於地方行,期不作。以多、善名,有「小物的人」之。平成六年(1994),集《暮》第一回丸山薰。曾任日本代人。著有《》、《》、《蚊的一生》、《麻雀》等十多部集。
[身的]
人生了
而走
便人前消失
但在店角落的
最後一的有限空
正著
有的在石上休息
有的以往昔的姿
啄食田的籽
初夏周末的
名穿著服的女性快跑了
清新的季息藏在服之中
各自的白皙身段耀眼目
唇射交
「!」我小
不就是真正的
身成人,不怕生地笑著、著
人群
森林中的意了
出尖的叫
不久後
的喧嚷已停歇,也中
要抵站了
她下了
大概是回去森林吧
在我心中
人的就像一喧
多久
如去後的昏般的悄然降
[容のカラス]
ヒトはカラスが嫌いになったといって
追いったので
カラスはヒトの前から姿を消してしまった
しかし本屋の片隅の
の最後のの限られた空に
カラスはとんでいた
あるものは岩に休み
あるものは昔をなつかしむ姿でのタネを
ついばんでいた
初夏の末のに
服の数人の女性が走りながらりこんできた
新な季が服のなかに秘められた
それぞれの白い姿をまぶしくかせ
言は唇からやかにとびかった
カラス! わたしはつぶやいた
これが本当のカラスではないか
カラスはヒトに身して人なつこく笑い、ざわめき
ヒトをしていた
森の中でまぶしいがよみがえり
カラスは甲高い声でいた
やがて
木ののざわめきがやみ、会が途えた
へ着いだのだ
彼女たちは次々と降りて行った
森へっていったのだろう
わたしのなかで
ヒトの言が木ののようにざわめいた
やがて
カラスの去ったあとの夕暮れのような沈がやってきた
[]
字形似字
用典查了下字
意思是心下即能得的
高次的宗教式在
了字
感幻常的一生
住在土七年
只能在地上存活七天的
到得悲
叫的叫
不叫的叫
得不出的子
得口言的子叫然
在和然之
正叫著
[]
という字は禅という字に似ている
禅という字を辞でべてみると
心を静めることによって得られる
高い次元の宗教的内面的体とある
という字をいては
のはかない生涯を哀しむ
七年土の中に住み
七日しか地上に生きられない
くをいては哀れに想う
くはという
かないはという
あきれて言の出ぬさま
あいた口のふさがらぬさまを然という
禅と然とのあいだで
がいている
[奇妙的]
深夜
我入侵蟑螂的世界
不小心
死一蟑螂
完全
一夜之
我家已被蟑螂占
蟑螂被忍地扁
、翅膀和身四散一地
我急忙收拾
但穿服的蟑螂
已在暗探我的情
我逃回室
像逃犯那上房
我了蟑螂的史
被人有著漫史
蟑螂族感到佩服
在了蟑螂要行的葬
以虔敬的心情
祈求死去蟑螂的魂能安息
多久
我始意到我是人
占我家、把我禁在房皆非法行
我始真思考如何攻克蟑螂
然自己都法置信
但是蟑螂逐增的
怎也法消除
我想
明天要蟑螂展全面了
[奇妙な争]
わたしは真夜中に
ゴキブリの世界に侵入して
不にも
ゴキブリを一匹してしまった
まったく付かなかったのだ
一夜のうちに
わが家がゴキブリに占されていたことを
ゴキブリは残にもれていた
脚と翅と胴体があたりに四散している
わたしはあわてて始末したが
服を着たゴキブリが
暗やみでもうこちらの子をっている
わたしは寝室に逃げり
逃亡者のような持で部屋のをかけた
わたしはゴキブリ国の史をひもといて
憎まれながらもい史を生きぬいてきた
ゴキブリ族に感心し
いまゴキブリで行なわれている葬のために
しばし敬虔な持で
死んだゴキブリのよ安らかにと祈った
しばらくしてわたしは
わたしがヒトであることを意しはじめた
わが家が占され、その一室にわたしが禁されていることは不当だった
わたしはゴキブリ国攻略をしんけんに考えはじめた
自分でも信じられないことであるが
しだいにしてくるゴキブリにする憎しみは
どうしても消すことはできない
明日はゴキブリとの全面争を展しようと
わたしは考えた
[蟪蛄]
又是
在地哪遭到拷呢
不身翅膀都是焦黑的
但依然整天叫
看那貌
不知何恰似般若的面容
[ニイニイ]
これはまた
地のどこで拷されたのか
身体はもとより翅まで焦げである
それでも日ジジといている
その姿をていると
なぜか般若にえてくるのだ
[麻雀]
抓麻雀件事
不是做不到
而是不能做
麻雀
就是了自己
麻雀自由自在翔
和人自由行走相同
灼的屋瓦上
被底下招呼到的
麻雀
麻雀眼中映出了我
[雀]
雀をつかむことは
出来ないことではないが
出来ることではない
雀をすことは
己をすことである
雀が自由自在にとんでいるのは
人が自由にくことと同じである
い瓦屋根の上から
挨拶されてびっくりした
雀だった
雀の目にわたしが映っていた
[初秋]
午後
年人的山手
一蛇眼蝶迷途了
停在行李架上
那是收集液和物的蝴蝶
待在乘客森林中一也不
明明一直住在暗的森林
是多美的蝴蝶啊
在下站
蛇眼蝶跟年的人一起下
一
如散新液息的林
得一片寂
[初秋]
昼下がり
若い人たちでわう山手ののなかに
一匹のジャノメチョウが迷いこんで
だなの上にとまっている
液や物の死体にあつまる蝶だ
っているヒトの林の中でじっとかない
いつもは暗い林の中に住んでいるのに
なんとな蝶なのだろう
次ので
ジャノメチョウは若者たちと一に降りていったが
いっとき
内は若い液のう木林のように
静まりかえっていた
[子的一]
子低空行
我行
就在白公寓
往下井草一丁目的角旁
以前
叫做天沼三丁目
昭和二十年遭遇空成了被焦的荒地
B29搭的美士兵的部分骸四散於此
後四十年的在
附近住著美人家庭
已是幽的住宅
我的子
在空中一大圈走了
捕捉的童年
如般我的子
歪著
停在上
[の一]
が低空行で
わたしをってきた
白ハイムから下井草一丁目へ
角を曲ってすぐの所だ
以前は
ここは天沼三丁目と呼ばれ
昭和二十年の空でけ野原となった所
B29の米兵のバラバラの胴体の一部が落ちた所だ
後四十年以上たった今
近くにアメリカ人の家族もすんでいる
静な住宅街だ
わたしをったは
大きく旋回してとび去った
とりをしていた幼い日
わたしをったのようなは
にとまって
首をげている
[田螺]
的水缸有三田螺
田螺吃水缸出的青苔生
水缸的水得以始乾清澈
而田螺上布青苔
看不自己背部的田螺
今天仍沿水缸爬行
[田螺]
のむ水の中には田螺が三匹いる
水に生ずる苔を食べて生きているので
水の中はいつもに澄んではいるが
田螺のには苔がいっぱい付着している
自分の背中のえない田螺は
きょうも水のをっている
[宛如土的麻雀]
麻雀
不是某人扔出的
土吧
咻的一被扔出的土
落到地上
而是在空中
出翅膀 出
朝地面翩然落下──
是幻
在的沙中
生出了麻雀
振翅向天空
[土の雀]
雀はもしかして
やらの投げた
土ではないだろうか
ぱっと投げられた土は
地面に落ちないで
空中で
羽が生え 脚が生え
ふんわりと地面へ舞い降りて──
幻であろうか
いまもの中から
雀が生まれて
大空へとび立っていた
[麻雀的舞蹈]
麻雀在跳舞
踏在地上
碎步急行
蹬地
在空中跳舞
即站回地上
伸袋
一副眺望景的姿
今天
依的天空彼端
院子
出逗趣舞蹈的
一麻雀
[雀の舞踊]
雀は舞い踊る
地面を踏み
つつつと小走りにき
地をく蹴り
空中で舞い踊る
地面にすっと立ち
首を伸ばし
くを眺めるの姿
今日も
い宇宙の彼方から
庭にやってきて
道化の舞台を舞っている
一羽の雀
[大蚊]
凝著
腥草和庭菖蒲放的院子
昏暗房
出一巨大的大蚊
彷拄著拐杖
撞那又撞
去
十公分的
似乎立刻就要折
不
砰的一撞上拉
砰的一撞上那壁
累了就坐在房一角
看上去像是蚊界的冠
大身、大型翅膀
的大蚊
一拉房拉
便如原始昆那般
不慌不忙球花的花
任何候看起
都像典型的老人那
猛直撞的一生
折休息
滑稽又可的
大蚊
[ががんぼ]
ドクダミと朝あやめのく庭を
眺めていると
うす暗い部屋の中に
大形のががんぼが一匹れた
杖をついているように
あちらにぶつかり
こちらにぶつかりしてとんでいる
十センチもあるい足は
すぐに折れてしまいそう
そんな心配をよそに
こちらの障子にがつん
あちらの壁にごつんとぶつかっている
疲れると部屋の隅に座りこんでいる
た目は蚊の仲のチャンピオンみたい
大きな身体、大型の翅
い脚のががんぼ
部屋の障子をあけると
紫花のく花に
原始の虫のように悠然ととんでいった
いつみても
正直者の典型のように
ぶつかりぶつかりの一生で
平素は景の片隅で
い脚を折り曲げて休んでいる
ユモラスで
らしいががんぼ
[分身]
在庭院乘
蚊子嗡嗡嗡
停在我手腕上
扎了一下
吸我的血
了繁衍後代拚上性命
蚊子,或是
天前吸我血的
母蚊的女吧
蚊子的身因血逐染成黑色
想到蚊子靠我的血生
不知何就得像人一恨不起反而
也是察到我想法
吸了血膨起的蚊子
成我的分身
不慌不忙
朝有牛花的庭前去
[分身]
庭でんでいると
蚊がぶんとやってきて
わたしの腕にとまる
ちくりと一刺しして
わたしの生き血を吸っている
子をふやすために命がけである
この蚊、もしかして
数日前にわたしの血を吸った彼女の
娘ではなかろうか
蚊の身体は血で次第に赤く染まってゆく
わたしの血で生まれ育ったのか、と思うと
なぜか身内のようで憎めなくて哀れである
そんなわたしの思いを察してか
血でふくれた蚊は
わたしの分身になって
悠然と
朝のある庭先へとんでいった
[睡──日光·照]
相是左甚五郎雕刻的
睡正在睡
在背後看不的地方
有麻雀在舞
(面一瞧便知)
左甚五郎
任何事都一清二楚
在外只雕了睡
他心好
麻雀
待在密的地嬉
(是他真正的心意)
正在睡
麻雀得以安心
舞嬉
其
麻雀想睡
想起
追逐麻雀
正在睡
其在
不得不睡
而麻雀
不得不舞
[眠り猫──日光·照]
左甚五郎がったとえられる
眠り猫が眠っている
そのうしろのえないところに
雀が二羽とんでいる
(にまわってるとわかる)
左甚五郎は
何でも知りぬいていて
眠り猫だけは表にった
彼のしいこころは
人目につかないところに
二羽の雀をばせている
(これが本音でいいたいところだ)
猫が眠っているので
雀たちは安心して
とんでんでいられる
本当は
雀は眠りたい
猫は起きて
雀を追いかけたい
猫が眠っている
本当に此では
猫は眠りけなければいけない
そして雀は
とびけなければならない
[狼]
一多月
下雨的草原上
起了土
一大群麻雀
踏在泥土上行
大地
猛烈晃著
戴褐色盔的
麻雀士雄赳赳行
土著
那一
如升起狼
[狼]
ひと月余り
雨の降らない草原に
土ぼこりがしている
雀の大群が
土を踏みしめ行している
大地が
ぐぐっ、ぐぐっといている
茶色の兜を被った
雀の兵士の力づよい行である
土けむりがあがっている
あのり
狼のような
[形如小螃蟹的蜘蛛]
冬日早晨
待在光落的起居室
喝著咖啡
小蜘蛛天花板垂吊下
仔一瞧
是一公形如白螃蟹的蜘蛛
在我眼前
乘著暖的微
、晃
宛如技演
白色蜘蛛乘晃
──今天一早就有好兆
幸的妖精然落在我家的
早晨
[小さなカニのようなクモが]
冬の朝
の光の差しこむ居で
コヒをんでいると
小さなクモが天井からすっと降りてきた
よくると
体一ミリほどの白いカニのようなクモだ
目の前で
暖房のにのって
ゆらりゆらり、ゆれている
サカスのわざのよう
白いクモがにのってゆれている
──きょうは朝からえんぎがいいわい
わが家に幸せの妖精が舞い降りた
朝だ
[帆船──白扇]
夏日
白互公
白扇
停在葫池的心草上
交配著下卵
雄以雌部支柱
如跖草般直立身
警戒四周
雌的
被雄腹部的一物住固定
雌像弓那著身
腹部浸在水中持卵
交配的子
宛如一艘帆船
微中
神流逝的片刻
雌正抖著身卵
一、又一
孕育生命的透明卵
落入池底
二十一世的午後
小小葫池
著心草的岸的
一艘帆船
[帆かけ舟──モノサシトンボ]
夏の日
白ふれあい公の
瓢池のイグサにとまり
交尾したまま卵している
モノサシトンボ
メスのトンボの部を支柱として
露草のように身体を垂直にして
りをるオスのトンボ
メスはをオスの腹部のハサミで
押さえつけられたまま
弓なりに身体を曲げて
水中に腹部を浸し卵をけている
つるんだままの姿は
まるで帆かけ舟のよう
微のなか
なるが流れるひととき
メスは身体を震わせて卵している
ひとつ、またひとつ
いのちを宿した透明なたまごが
静かに池の底に落ちてゆく
二十一世の昼さがり
小さな瓢池の
イグサの岸にある
帆かけ舟
[兔子]
秋日夜晚
兔子到庭前
把前
搭在有金的水槽
津津有味地喝著水槽的水
投映在水面的月亮
如生蛋般
滑兔子的咽喉
一月高天空
摸著下巴俯著
[うさぎ]
秋の宵
うさぎが庭先にやってきた
金のいる水槽のに
前足をちょこんとせて
水槽の水をおいしそうにんでいる
水面に映った月が
生卵の黄味のように
うさぎの喉を通ってゆく
三日月が
天空であごをしごいてている
[宿]
河面上只露出眼睛的青蛙
一口吞掉
被河水走的蜻蜓
青蛙
是小蝌蚪
是
被蜻蜓的幼水威
[]
川流れの弱った赤とんぼを
川面に目だけ出していた蛙が
パクリと食べた
おたまじゃくしの
とんぼの幼虫ヤゴに
いつもかされていた
蛙だった
[老蛙]
深山的古池附近
一疙瘩的
年蟾蜍
上嘴
目入的境界
看似蟾蜍老僧
但靠近看,半著眼微笑
嘴成へ字
哎呀!
嘴露出了蜻蜓的翅膀
再定睛一瞧
是拼命忍住笑的蟾蜍
[老蛙]
山奥の古池のり
いぼいぼで
いかにも古老の
口をぎゅっとむすんで
目をつむり の境地
の老僧か とたが
近寄ると 半眼微笑
口をへの字に曲げてはいるが
これはしたり!
その口に赤とんぼの翅がいている
なおもよくると
必死に笑いを堪えているである
[]
少年的我
捉蜻蜓用著
青蛙
到的青蛙扔地上
趾始把皮得精光
在上小
再把到的小的尾巴掰下
的同
上的同
不哪
都像高呼似的被起
、
是降服的姿
[バンザイ]
少年のぼくは
トンボを捕まえ糸にって
カエルをった
ったカエルを地面に叩きつけ
脚指からつるりと皮をむき
ヒモに吊るしてザリガニをった
ったザリガニのしっぽを千切り
仲のザリガニをった
られた仲のザリガニは
どれもこも みんな
バンザイしてり上げられた
バンザイ バンザイ
バンザイは降伏の姿であった
〈容のカラス〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),13、14。
〈〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),15、16。
〈奇妙な争〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),18、19。
〈ニイニイ〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),20。
〈雀〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),26。
〈初秋〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),28。
〈の一〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),45、46。
〈田螺〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),62、63。
〈土の雀〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),84、85。
〈雀の舞踊〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),85。
〈ががんぼ〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),87、88。
〈分身〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),90。
〈眠り猫──日光·照〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),110、111。
〈狼〉,自:菊田守,《新 菊田守集》(京:土曜美社出版,2002),117。
〈小さなカニのようなクモが〉,自:佐相一等,《命が危ないい 311人集—いま共にふみだすために》(京:コルサック社,2011),94。
〈帆かけ舟──モノサシトンボ〉,自:菊田守,《日本物集》(京:文芸社,2017),94-96。
〈うさぎ〉,自:菊田守,《日本物集》(京:文芸社,2017),160、161。
〈〉,自:菊田守,《日本物集》(京:文芸社,2017),172。
〈老蛙〉,自:菊田守,《日本物集》(京:文芸社,2017),176、177。
〈バンザイ〉,自:菊田守,《日本物集》(京:文芸社,2017),178、179。
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